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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) JO1「OH-EH-OH」と三浦春馬「Night Diver」の勝敗を分けたものとは? YouTubeのチャートポリシー変更でチャートは大きく変容?…9月7日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

(※追記 (9月3日19時25分):昨日ビルボードジャパンが発表したダウンロード指標、および総合チャートが本日一部訂正されたため、キャプチャや表を差替しています。)

 

 

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

8月24~30日を集計期間とする9月7日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。JO1「OH-EH-OH」と三浦春馬「Night Diver」の首位争いは「OH-EH-OH」に軍配が上がりました。

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三浦春馬「Night Diver」はJO1「OH-EH-OH」をいくつかの指標で上回りながら、『シングル・セールス差の約10万枚を覆すには至らず』に2位となりました(『』内は上記記事より)。

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2曲のチャート推移(CHART insight)および今週の総合5位までの各指標の順位から動向を確認しましょう。「Night Diver」については直近11週分のCHART insightを用意しています。

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これをみると「Night Diver」がデジタルに強く、「OH-EH-OH」がCDセールスおよびTwitterといったいわばアイドルが強い指標に長けていることが判ります。特にTwitterにおいては、JO1「STARGAZER」(「OH-EH-OH」等を収録したセカンドシングルCD)に収録された6曲がTwitter指標で7位までに入っていることから、ファンによるつぶやき活動の成果が大きく反映されたと言えるでしょう。この活動については下記ブログエントリーで取り上げています。

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最も気になったのはルックアップ。この指標はJO1「OH-EH-OH」、三浦春馬「Night Diver」それぞれチャート構成比のおよそ5%程度を占めており、前者が1400ポイント以上、後者が1260ポイント程度を獲得していると推測されます。しかし20万以上売り上げた両曲はこの指標でトップに立てませんでした。

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ルックアップを制したのは今週もOfficial髭男dism「HELLO」(総合9位)。当週のシングルCDセールスは「Night Diver」の2.5%、「OH-EH-OH」を収録した「STARGAZER」の1.7%でしかありません。にもかかわらず「HELLO」がルックアップを制したのは集計期間中に『FNS歌謡祭』(フジテレビ)で披露した等によりレンタルが好調に推移したことが主な理由であると考えられます。これは前週指摘したのと同じ動きです。

シングルCDセールスとルックアップの順位が乖離する場合、ルックアップが極端に低いほどユニークユーザー数(実際の購入者数)が少なくコアなファンが売上を支えている、逆に後者が極端に高いほどレンタルが好調であると捉えることができるでしょう。あいみょん「裸の心」やLiSA「紅蓮華」も後者の傾向にあるのです。つまり、より多くの方へ浸透しているか、興味を持たれているかが【シングルCDセールス<ルックアップ】に表れるものと考えます。

(ただし、嵐「カイト」については、ビルボードジャパンでは今週カウントされなかった(であろう)ファンクラブ限定盤の追加出荷分がオリコンでは反映された模様で、その売上によりオリコンでは”シングルで初のミリオン達成”とアナウンスされました。当週のシングルCDセールス(23位)とルックアップ(4位)の乖離は、「カイト」においては追加出荷分の取り込みも大きいと言えるでしょう。)

この【シングルCDセールス<ルックアップ】において、JO1「OH-EH-OH」と三浦春馬「Night Diver」の予想の際にも申し上げたのですが、「Night Diver」が前作とは異なりレンタル解禁をアルバム同様CDリリースの17日後に設定したのは、厳しい表現かもしれませんが大きな誤算だったと言えるかもしれません。仮にレンタル同日解禁でも「OH-EH-OH」を逆転するに至れたかは難しいところですが、追悼の意を込めて元来購入すると決めていた方が多く、一方で作品自体は2週連続4位に入っていたという注目度の高さから察するに、レンタルが解禁されたら手にしたいと思っていた方もまた多いはずです。解禁の事実を知らずとも、レンタル店で解禁を知って接触から所有に行動を変える方もいらっしゃったかもしれません。今作においてはレンタル同時解禁でも売上を大きく落とすことはなかっただろうと考えれば、またレンタル店でも在庫数を複数用意するであろうとも想像できたため、デビューシングルとは異なりレンタルを同時解禁しなかったためにルックアップの大量獲得につながらなかったことは至極勿体ないと思っています。

 

 

さて今週から、ビルボードジャパンはYouTubeの取扱を変更しました。いわゆるチャートポリシー変更です。

ビデオストリーミングとオーディオとに分け、また有料会員と無料会員とで1再生あたりのウェイトを変えるという細分化は、多くの曲に影響を与えています。定点観測している総合50位のポイントは前週まで3週連続で増加していたものの、今週は(2429→)2190ポイントと大きく落としています。そして今週トップ50入りした楽曲のポイント前週比もはっきりとした傾向が見られるのです。

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8月31日付では、その前の週がお盆の時期であり主にストリーミングが伸びて全体のポイントを底上げした、その反動がポイント前週比に表れたと捉えていますが、今週はその8月31日付からさらにポイントを落としている曲が大半。そして最も大きく落とした曲のひとつがYOASOBI「夜に駆ける」(今週4位)でした。

大きく落とした原因のひとつには、YOASOBIがゲスト出演し大きくフィーチャーされた8月16日放送『関ジャム完全燃SHOW』(テレビ朝日)の反動が挙げられます。同じく取り上げられたヨルシカ「花に亡霊」(今週40位)がポイント前週比77.9%、yama「春を告げる」(今週28位)が同70.6%と下落幅が大きいのはその影響もありそうです。とはいえYOASOBI「夜に駆ける」がとりわけ大きくポイントを落としたのは、動画再生が群を抜いた分その反動が大きかったゆえと考えます。

 

ロングヒット曲が残りやすいビルボードジャパンソングスチャートにおいて、ロングヒットの要となるのが接触指標群であり、ストリーミング指標がおよそ5割、動画再生指標が2割以上を占めればロングヒットに当たるのではということを以前指摘しました。しかし今回のチャートポリシー変更に伴い、その数値は大きく変わりそうです。この点については定点観測を行い、あらためて私見をまとめてみようと思います。

ジャスティン・ビーバーによる近年の客演や共演曲は献身的な愛に溢れている

Spotifyを活用して毎月私的トップ10ソングスを選ぶようになったことで、日々の新曲確認に余念がありません。そんな中、先週金曜に発表されたこの曲に惹かれました。

ウィル・スミスの息子でラッパーとして活動するジェイデン・スミスがジェイデン名義でリリースしたサードアルバム『CTV3: Cool Tape Vol. 3』収録のこの曲。以前「Never Say Never」(→YouTube 2010 米最高8位)でジャスティン・ビーバーに招かれたジェイデンが、今度はそのジャスティンを招いているのです。

ジェイデンにとって米ビルボードソングスチャート(Hot 100)入りを果たしたのはこの曲だけであり、チャート上でも成功なるかに注目。リリース日である8月28日付の米Spotifyデイリーチャートでは107位に初登場を果たしています。

 

 

今年アルバム『Changes』をリリースしたジャスティン・ビーバーですが、この前後に招かれた作品における彼の立ち位置は似ている気がします。ひとつは歌詞における恋のはじまりや頂点に達した思いをより深く表現してくれる存在、そしてもうひとつはより大きなチャートアクションをもたらしてくれる存在。

 

アリアナ・グランデとの「Stuck With U」はコロナ禍におけるチャリティの性質もありフィジカル施策がダウンロード指標を押し上げて米ビルボードソングスチャートを制覇。一方で翌週にはトップ10落ちとなったことでこの曲が社会的ヒットに至れたかは疑問ですが、両者にとって若干のブランクを経ての首位カムバックとなったことは間違いありません(チャートにおける施策等については以前まとめています)。そしてコロナ禍の不安を解いてくれる意味も持ち合わせているだろう歌詞、とても甘いのです。

ダン+シェイと共演した「10,000 Hours」(2019)は、カントリーデュオに米ビルボード最高位、且つ初のトップ10入りとなる4位をもたらしています。君とならもう1万時間一緒にいたいというこのラブソングは、ダン+シェイさらにジャスティンの私生活でのパートナーがミュージックビデオに参加し、画が曲の世界観をさらにくっきりさせてくれます。ジャスティンの参加が功を奏し、リリース日にはカントリー曲で異例となる米Spotifyデイリーチャート2位発進を果たしました。

そして忘れられないのは、ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」(2019)への参加。オリジナルバージョンを上回るポイントを獲得できなかったため、チャート上で客演名義になることはありませんでしたが、「Bad Guy」が長き待機期間を経て米ビルボードソングスチャートを制した、その縁の下の力持ちになったのは間違いありません。曲のテーマは恋愛の良い瞬間を捉えたものではないものの、ビリー・アイリッシュにとってジャスティン・ビーバーは憧れであり初恋の人と言える存在。曲ではなくビリー自身の思いを叶えてくれる共演だったのです。

 

ジャスティン・ビーバーは結婚を経て献身的になったのではという心境の変化を勝手ながら感じています。最新アルバムからロングヒットとなった「Intentions (feat. クエイヴォ)」(米最高5位)における妻への愛、そして様々な人々を思う心の深さはまさにそれを示すものであり、献身的な愛情が今回取り上げた客演や共演の源ではないかと思うのです。

BTS「Dynamite」がK-Popアクトとして初の頂点へ…9月5日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の8月31日月曜に発表された9月5日付最新ソングスチャート、2週連続で首位の座に就いていたカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」からその座を奪ったのはBTS「Dynamite」。BTSは韓国の歌手としては初めて米ビルボードソングスチャートを制しました。

BTS「Dynamite」はストリーミングが3390万で同指標3位、ダウンロードは300000で同指標1位に初登場。ラジオエアプレイは50位未満ながら1160万を獲得。特にストリーミングおよびダウンロードの高さに貢献したのは上記ミュージックビデオのリリースタイミングでの公開は勿論のこと、Bサイドと銘打ったビデオ(→YouTube)やEDMおよびアコースティックリミックスの追加投入、ダウンロード価格を通常の0.99~1.29ドルではなく0.69ドル(69セント)に安価設定したこと、レコードおよびカセットテープの販売(ただしいわゆるフィジカル施策は実施せず)等が挙げられます。これらについては以前ブログにてまとめています。

BTSはこれまでアルバム4作を米ビルボードアルバムチャートのトップに送り込みながら、ソングスチャートにおけるこれまでの最高記録は「On」(2020)の4位でした。これまでのBTSの上位進出曲と「Dynamite」で初登場の順位や各指標の動向を比較すると、今作の強さがよく解ります。

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ラジオエアプレイは強くないと思われるかもしれませんが、今年初登場で首位を獲得した曲の中では決して小さくありません。

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そしてとりわけ強さが際立ったのがダウンロード。先述したリミックス等の登場も相まって、フィジカルを除いても265000を売り上げているのですが、この数値はテイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」(2017年9月16日付)の353000以来となるビッグセールスに。グループとしては、プリンス&ザ・レボリューション「Purple Rain」(1984)がプリンスの訃報に伴い2016年5月14日付で282000を売り上げて以来となります。

先述したように、BTS「Dynamite」は韓国出身の歌手で初の首位を獲得。これまでの最高位はPSY「Gangnam Style」(2012)の2位でした。アジア出身の歌手による初の米ビルボードソングスチャート制覇は1963年6月の坂本九さんによる「上を向いて歩こう」。また韓国出身とは異なりますが、韓国系アメリカ人が2名在籍するファーイースト・ムーヴメント(他の2名も日本および中国の血をひくアメリカ人、フィリピン系アメリカ人)による「Like A G6」が2010年秋に米ソングスチャートを制しています。

 

初登場から2週連続で首位の座に就いていたカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」は2位に後退。ストリーミングは前週比10%ダウンながら6500万を獲得し同指標首位に立ち、ダウンロードは同30%ダウンの25000(同指標2位)、ラジオエアプレイは同13%アップの1870万(同指標46位)となっています。一方、前週ダウンロード指標の差により「WAP」を抜いて初登場で首位を獲得できなかったドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」も1ランク後退し3位へ。ストリーミングは前週比38%ダウンの4360万(同指標2位)、ダウンロードは同64%ダウンの7000(同指標7位)と2指標で大きく落とした一方、ラジオエアプレイは同44%アップの2460万となり同指標31位へ上昇しています。またラジオエアプレイの首位はザ・ウィークエンド「Blinding Lights」で、前週比2%アップとなる8020万を獲得。これにより「Blinding Lights」はラジオエアプレイ最長首位記録を21週に伸ばしています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) BTS「Dynamite」

2位 (1位) カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」

3位 (2位) ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」

4位 (3位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

5位 (4位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

6位 (5位) ジャック・ハーロウ feat. ダベイビー、トリー・レーンズ & リル・ウェイン「Whats Poppin」

7位 (7位) ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」

8位 (8位) セイント・ジョン「Roses」

9位 (9位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」

10位 (12位) ルイス・キャパルディ「Before You Go」

今週はBTS以外大きな動きに乏しく、前週トップ10入りしたカントリー2曲がダウンしルイス・キャパルディ「Before You Go」がトップ10内に再浮上した程度と言えるかもしれません。

 

さて次週はBTSがどこまで留まるかが焦点となります。先述したBTSの上位曲一覧表でも解るように、翌週も上位にとどまったことがないのが大ヒットに至れない理由だったことから、ラジオエアプレイの上昇および他2指標のダウン幅の抑制が留まるための鍵となります。BTSは新たなリミックスを投入しており、それがどう作用するか…この点については一昨日のブログにて取り上げています。

そしてそのブログでも触れましたが、日本時間で昨日放送された『MTVビデオ・ミュージック・アワード』のパフォーマンスや受賞曲の動向にも注目しましょう。再放送時間は下記に。

 

『関ジャム完全燃SHOW』で紹介された藤井風のアルバム『HELP EVER HURT NEVER』、チャート再浮上を果たすもルックアップの高くなさが気になる

先週水曜の発表された8月31日付ビルボードジャパンアルバムチャートは米津玄師『STRAY SHEEP』が圧倒的な強さで3連覇を達成、そして集計期間の前日に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』で取り上げられた藤井風さんのアルバム『HELP EVER HURT NEVER』が6位に入り、9週ぶりにトップ10返り咲きを果たしました。

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CDセールスは26→11位、ダウンロードは14→3位そしてルックアップは48→21位となり、総合でも16ランク上昇しています。無論これは『関ジャム完全燃SHOW』効果と言えますが、一方で気になったのはルックアップ指標の順位、およびチャート構成比に占める同指標の割合の高くなさ。ロングヒット作品のチャート構成比に『HELP EVER HURT NEVER』が合致しない理由がルックアップ指標の高くなさにあり、その原因がレンタル店における展開の不十分さにあるのではと以前記載しましたが、最新週のデータをみるにどうもこの点は解決されたとは言い難いと思うのです。

 

ルックアップはパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースにアクセスされる回数を示します。CD購入者の取り込み、そしてレンタルの取り込みも加算されることから、ルックアップはアルバムチャートにおける唯一の接触指標となるのです。CDは基本的に発売から17日後にレンタル解禁され、CDセールスがチャートに初めて加算されたその2週後に解禁直後2日間のレンタルがルックアップに加算されます。注目度の高い作品はその2週後のルックアップがより上昇する傾向にあり、またメディアで話題になれば2週後に限らず…なのですが、『HELP EVER HURT NEVER』はレンタル在庫が(仮に増やしたとしても)十分ではなくニーズを満たせなかったためにルックアップ指標が伸びなかった可能性もあります。

 

 

さて、先程は注目度の高い作品という文言を用いましたが、ここからは今年度の年間アルバムチャート上位進出が予想される作品の、初登場から3週分における傾向を見てみましょう。

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Official髭男dism『Traveler』については昨年度に初登場を果たしていますが、CDセールスは今年度のほうが勝り、アルバムチャートではこれまで一度としてトップ10から陥落していません。特にルックアップの強さは象徴的で、登場2週目に4位に落ちた以外は常にトップ3をキープ。登場3週目は先述したようにレンタル解禁に伴うルックアップ加算が起こることから、この指標でトップに返り咲いています。これはKing Gnu『CEREMONY』も同様です。

無論、米津玄師『STRAY SHEEP』の強さは言わずもがなであり、売上的にも全指標制覇という面でも、そして他の作品と比較しても圧勝と言えます。そしてルックアップについて、チャート記事から関連する記述を引用すると『2位に5倍以上の差』(8月24日付)、『前週よりもポイントが高く、2位のおよそ9倍のポイントを獲得』(8月31日付)とあります(日付のリンク先は各記事につながります)。それぞれの日付におけるルックアップ2位作品の数値には違いがあるでしょうが、同指標において2位との差を5倍以上→9倍へと拡げたその一因にレンタル解禁があることは間違いないでしょう。 

ちなみにルックアップではBTS『MAP OF THE SOUL : 7 ~ THE JOURNEY ~』が、レンタル初加算にも関わらず登場3週目に同指標の順位を落としているのが特徴的。他の2指標についても、表で取り上げた4作品の中で前週比が最も低くなっています。これは所有指標、それもダウンロードよりCDセールスへの集中という状況が見て取れます。

 

全体的には米津玄師『STRAY SHEEP』の強さが際立つものの、所有指標の売上前週比ではOfficial髭男dism『Traveler』が勝っていることに注目。米津玄師さんも前作を大きく超えるセールスを記録していますが、メジャーファーストアルバムでありいわば”見つかった”的な注目度の高さと内容の良さ、さらに相次ぐ新曲投入等で話題が絶えず歌手のもしくは歌手への熱が持続したことが、『Traveler』のロングヒットに繋がったと言えるでしょう。もしかしたら売上堅調の一因には、一度レンタルしたもののやはり買いたいという、接触から所有への行動変化を採る方が少なくなかったこともあるのではと感じています。

米ビルボードソングスチャートを制する可能性が高いBTS「Dynamite」、さらに翌週も好位置を目指した戦略を実施…キーワードは親しみやすさ?

日本時間の明後日発表される9月5日付米ビルボードソングスチャートにおいて、8月21日金曜にリリースされたBTS「Dynamite」が初登場で首位に立つ可能性が高まりました。チャート予想者が複数、今回の首位の可能性を示唆しているのです。あくまで予想段階ではありますが、実現すれば韓国の歌手にとって初となる米ビルボードソングスチャート制覇となります。

今回のBTS「Dynamite」ついては、フィジカルのリリースやリミックスの用意、さらにはリリーススケジュール通りに公開された別バージョン(Bサイド)のミュージックビデオ登場等により、リリース初週におけるストリーミングおよびダウンロード指標の強化が行われてきました。9月5日付米ビルボードソングスチャートの対象期間はストリーミングおよびダウンロードが8月21~27日、ラジオエアプレイが8月24~30日となります。

 

BTSはこれまで、「On」(2020)の4位が米ビルボードソングスチャートにおける最高位でした。ストリーミングでは以前より下がることもあれ安定した人気を博すと同時に、ダウンロードは伸び続けています。

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初登場こそ高位置につけるもの翌週は所有指標であるダウンロードが急落、ストリーミングもやや大きく数値を落とす傾向にあるため、最も上昇度の低いラジオエアプレイで2指標をどれだけ補填できるかが登場2週目の鍵。BTSをはじめとする主なK-Popアクトがロングヒットに至れないのは、ラジオエアプレイが十分ではないために瞬間風速的なものになってしまうことが原因と言えます。

 

この克服のために、BTSは「Dynamite」において登場2週目の各指標強化に取り組んでいることは前週のブログにて記載した通り。日本時間の明日31日に開催されるMTVビデオ・ミュージック・アワードの出演に伴うBTS熱の持続(および、おそらくここでのパフォーマンス映像が放送から程なく公式動画としてYouTubeにアップされる可能性が高く、そうなればストリーミングも強化されます)が主な内容ですが、BTSはさらに8月28日金曜、新たなリミックスバージョンを投入してきました。

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前週のブログでもOfficial BTS Music Store(URLは bts-dynamite.us)における「Dynamite」商品一覧のキャプチャを紹介しましたが、「Dynamite」においては新たにトロピカル、プールサイドと名付けられたリミックスが登場。オリジナルおよびそのインストゥルメンタル、アコースティックさらにEDMと合わせた6バージョンとなり、ダウンロードやサブスクサービスではこの6バージョンがデラックスエディションとしてまとめられています。

ディスコティークなオリジナルに対し、それぞれのリミックスは単なるオケの差替ではなく各ジャンルに沿った工夫がなされ、今の時代の雰囲気をまとったものとなっています。一方でオリジナルバージョンにおける、特にアウトロの”ジャジャジャジャン”というアレンジは一聴すると格好悪く感じられるかもしれませんが、とりわけラジオリスナー(他のメディアよりも以前からあるメディアを利用する方、という表現のほうがしっくりくるかもしれません)に対し、親しみやすく聴こえるのかもしれませんね。

今回の「Dynamite」各バージョンが安価で売られていることも、親しみやすさのポイントと言えるでしょう。実は前週の段階で見逃してしまっていたのですが、前週そして現段階でもOfficial BTS Music Store(URLは bts-dynamite.us)では「Dynamite」各バージョンが0.69ドルで売られています。これはiTunes Storeでも同様です。

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日本時間の8月30日7時半の段階での米iTunes Storeソングスチャートをみると、BTS「Dynamite」が11位までに6バージョンランクイン。他の曲が0.99~1.29ドルなのに対し、安価設定が際立っています。これにより手に取りやすくなった、親しみやすくなったと言えるかもしれず、「Dynamite」は全編が英語詞であることも含めて、アメリカにおけるBTS入門編として最適な作品であると言えるかもしれません。

最近のチャート対策として、ダウンロード指標上昇につながるフィジカル施策が主に用いられてきました。歌手のホームページにてレコード等フィジカルを販売し後日それらが届くのとは別に購入段階でダウンロードが可能となることで、フィジカルとダウンロードの双方が購入段階でカウントされるというのがこの施策の内容ですが、米ビルボードでは10月上旬よりフィジカル施策を実質無効とするとアナウンスしています。一方で、8月15日付米ビルボードソングスチャートを制したハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」はフィジカル施策も用いながら安価販売も実施したことでダウンロード指標の急伸に成功させています(なお現在は1.29ドルで販売)。もしかしたら今後、この安価販売が再度ダウンロード指標対策の主たる手段に踊り出るかもしれません。

 

9月12日付米ビルボードソングスチャートの対象期間はストリーミングおよびダウンロードが8月28日~9月3日、ラジオエアプレイが8月31日~9月6日。BTS「Dynamite」はMTVビデオ・ミュージック・アワード出演を追い風に、そして追加リミックスと安価販売を武器に、登場2週目に好位置をキープする戦略を採ってきました。チャートの動向が楽しみです。

次週のビルボードジャパンソングスチャートを制するのはJO1「OH-EH-OH」か三浦春馬「Night Diver」か? 両者の指標毎の動向をチェックする

ビルボードジャパンソングスチャートのチャートポリシー変更については昨日お伝えしましたが、その変更が初めて適用される9月7日付チャート(9月2日発表、集計期間:8月24~30日)では最上位をJO1「OH-EH-OH」と三浦春馬「Night Diver」が争います。ビルボードジャパンソングスチャートの予想については、後述する各指標の速報記事(先ヨミ)を用いて行っている方がいらっしゃいますが、個人的にはここでも幾度となく紹介させていただいているあささんの予想が実に興味深いと感じています。あささんによると、JO1と三浦春馬さんが僅差となる模様です。

自分も同意見ですが、覆る可能性も十分有り得るものと捉えています。というわけで今回は、次週における2曲のチャートアクションを、チャートを構成する各指標からチェックしてみようと思います。

 

 

CDセールスについてはJO1が優勢。「STARGAZER」はシングル全体のタイトルであり、シングルCDセールスおよびルックアップ(パソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースへアクセスされる回数)は冒頭を飾る「OH-EH-OH」に加算されます。

今週水曜までを集計期間とするシングルCDセールスでは2位の三浦春馬「Night Diver」におよそ8万5千枚の差をつけています。つまりはこの差が他指標によってどこまで埋まるかが次週の注目点と言えます。

 

では、最新週(8月31日付)におけるチャート推移(CHART insight)をみてみましょう。

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2曲の動向があまりにも対照的であることが解ります。JO1「OH-EH-OH」のポイント獲得は、8月17日付での動画再生指標(100位未満(300位圏内))以外はすべてTwitter指標によるもの。「OH-EH-OH」のミュージックビデオは今週フルバージョンが公開されているため、今月上旬に登場したショートバージョン(→YouTube)が動画再生指標の加算につながったものと考えます。

一方でデジタル先行解禁となった三浦春馬「Night Diver」はその解禁日が金曜(ミュージックビデオは同日夜)にもかかわらず、月曜を集計開始とするビルボードジャパンソングスチャートでは8月3日付で4位に登場、翌週も同位置をキープし1万ポイントの大台に乗りました。最新週では29位ながら、デジタル指標群が比較的好調に推移しています。

これらを踏まえるに、CDセールスの大きさは両者変わらずもCDセールスの比重が大きいであろうJO1「OH-EH-OH」と、他指標もまんべんなく取り込むであろう三浦春馬「Night Diver」の首位争いが、9月7日付ビルボードジャパンソングスチャートで見られることになります。

 

 

ここで前作の動向から今作を占ってみたいのですが、三浦春馬「Night Diver」は昨夏のデビュー作「Fight for your heart」から大幅に売上を伸ばし比較対象にすることは困難と言えるため、JO1のみ取り上げます。彼らのデビューCD「PROTOSTAR」は初週シングルCDセールス34万強を記録し、CDの冒頭を飾る「無限大」が3月16日付ビルボードジャパンソングスチャートで首位を獲得しています。

当該週においてはシングルCDセールスの速報記事が出ていないため、「PROTOSTAR」の水曜までの売上と「STARGAZER」のそれとを比較することはできませんが、おそらく「STARGAZER」は最終的に「PROTOSTAR」並の売上を獲得するものと思われます。そして今回も前回同様のチャート構成比となるならば、「無限大」がシングルCDセールス加算初週に獲得した30399ポイントに近い数値となることでしょう。

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3月16日付ビルボードジャパンソングスチャート、トップ5における指標毎の順位をみると、「無限大」はシングルCDセールスに長け、ダウンロードでもトップ20入りした一方接触指標群は強くなく、またTwitter が高い一方でルックアップは2位にとどまっています。このルックアップで首位を獲得したのは同週総合3位に入ったMr.Children「Birthday」で、CDの売上は「PROTOSTAR」の2割に届かないものの同指標を制した理由は「PROTOSTAR」のユニークユーザー数の多くなさ、および「Birthday」のレンタル人気の高さではと推測しています。特にレンタルについては、最新8月31日付において関ジャニ∞「Re:LIVE」(総合首位)が30万枚以上を売り上げながらもルックアップ指標首位の座をOfficial髭男dism「HELLO」(総合11位)に譲った大きな原因ではないかと捉えています。尤も関ジャニ∞ジャニーズ事務所所属歌手については他の男性アイドルグループよりレンタルCD在庫が確保されているという印象はあります。

「無限大」についてはさらに、ミュージックビデオのフルバージョンがCDリリース前の2月の段階で解禁されながらも、動画再生指標が現在まで一度も加算されていません。

尤も「OH-EH-OH」はショートバージョンのみ公開の段階で動画再生指標に加算されたほか、公式Twitterアカウントが再生回数に応じた”公約”を掲げていることから、ファンの連帯を中心とした再生回数増加は十分に考えられます。

 

さて、JO1の公式Twitterアカウントによるツイートには特徴的な記述がみられます。

CDでは複数種で異なるカップリング曲が用意されていましたが、デジタルではスペシャルエディションとして全曲を用意。この「STARGAZER」に収録された6曲すべてが8月31日付ビルボードジャパンソングスチャート、Twitter指標トップ10内に登場しているのですが、上記ツイートでは6曲すべてハッシュタグ化され列記されていることが解ります。

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公式Twitterアカウントによる収録曲のハッシュタグでの列記は8月21日が最初の模様であり、それ以前にはファンによる同種のつぶやきがあったことから、公式側がこの手法を採り入れたのかもしれません。このような公式の使用は、収録曲の列記を公式が認め、勧めたと言えそうであり、Twitter指標については次週大幅に伸ばしてきそうです。

 

「PROTOSTAR」で首位の座を獲得できなかったルックアップ指標については、この春以降特に男性アイドルの曲で伸びているものが多く、ファンによる”購入したCDを全て、パソコン等インターネットにつながった機器に取り込む”という動きが徹底されてきたのではと感じています。歌手のファンによってルックアップの動きは様々ですが、仮に前作以上のルックアップを獲得できたならば徹底の証拠と言えそうです。一方で自分がよく行くレンタル店舗に足を運んだ際「STARGAZER」の在庫は1枚のみ。他店でもレンタルCDの在庫が、仮に増えたとしてもそこまでではないだろうと考えると、レンタルに伴うルックアップの獲得は厳しいかもしれません。

JO1「OH-EH-OH」は9月7日付ビルボードジャパンソングスチャートにおいて、前作よりルックアップや動画再生指標を取り込む可能性もあることから、獲得ポイントは3万点台前半と捉えるのが自然だと個人的には捉えています。

 

 

一方の三浦春馬「Night Diver」ですが、初週の最終的なCDセールスが20万を超えるのは確実。8月31日付ソングスチャートではNMB48「だってだってだって」が22万枚の売上により2万ポイントを突破していますが、シングルCDセールスがチャート構成比の95%程度だったことから、22万を売り上げれば19000ポイントは獲得できる模様です。その上で、ダウンロードおよびサブスクの再生回数に基づくストリーミングは幾分復調傾向にあります。

「Night Diver」の水曜までにおけるダウンロードセールスは1万を突破し、CDのカップリング2曲とで3位までを独占しています。2週連続で総合4位を獲得した際のダウンロードセールスは35921(8月3日付)→27605(8月10日付)と推移していますが、さすがにここまでの数値には届かないものと思われます。

 

サブスクの再生回数に基づくストリーミング指標では水曜までの速報にて「Night Diver」はトップ10入りを果たせていませんが、各サービスでは「OH-EH-OH」より再生回数が多いことが確認できます。以前の再生回数は2603495(8月3日付)→6872979(8月10日付)と推移。Spotifyのデイリーチャートでは幾分復調傾向にあることから、ダウンロードとストリーミングは共に、最も数字を伸ばしたときの5割強は獲得できるものと考えるのが自然でしょう。

これらデジタル2指標よりも順位の変動が大きくない動画再生指標はより安定してポイントを獲得できる源となるでしょうし、さらにTwitterにおいては月曜から歌手名および曲名がトレンド入りを果たし、同指標でこれまでにないポイントを獲得できるはずです。ならば、シングルCDセールスとこれら指標群とで3万ポイントを超える可能性も十分考えられるのではないでしょうか。

 

他方、至極勿体ないと思ったのはレンタル解禁が17日後であるということ。TSUTAYAのレンタルCDページで三浦春馬さんの作品を検索すると判るのですが、気になるのはデビュー曲の「Fight for your heart」が発売とレンタルとが同日だったという事実。「Night Diver」の売上が寄付に回るということで、接触状況を減らしてでもCDセールスに集中させたいというレコード会社や芸能事務所側の意向があったのではないか、ゆえに前作とレンタル解禁日をずらしたのではと思うのです。

しかしながら今回の作品に限らず、”発売と同日にレンタルが解禁されないから所有行動に移行する”方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。寄付に回るならば尚の事、当初から所有行動を決めていた方は圧倒的に多かったはずです。また「Night Diver」がここまで話題になっていることを踏まえれば、それこそJO1「無限大」をルックアップで上回ったMr.Children「Birthday」や関ジャニ∞「Re:LIVE」を超えたOfficial髭男dism「HELLO」並のレンタル需要はあったはず。レンタルに伴うルックアップの上昇如何では「Night Diver」がJO1「OH-EH-OH」を逆転する可能性もあったのではと考えると、今回のレンタル解禁遅らせ措置は至極勿体ないというのが私見です。

 

 

と、ここまで2曲のトップ争いについて予想を立ててみました。大事なのは、週間チャートを制することは勿論ながら、その翌週の動向も押さえること。順位およびポイントの下落がどこまで抑えられるかをみて、真の社会的ヒットに至ったかを判断する必要があります。 

 

(追記あり) ビルボードジャパンがチャートポリシー変更をアナウンス、次週発表分よりYouTubeデータの反映方法が細分化されます

(※追記(2023年3月18日5時14分):はてなブログにてビルボードジャパンのホームページを貼付すると、きちんと表示されない現象が続いています。そのため、表示できなかった記事についてはそのURLを掲載したビルボードジャパンによるツイートを貼付する形に切り替えました。)

 

 

 

ビルボードジャパンのチャートポリシーが変更されます。9月7日付ビルボードジャパンソングスチャートから適用されるため、実のところ8月24日からその変更がはじまっているのです。

今回の改定の背景には『YouTubeのビデオストリーミングも、オーディオストリーミングも、全て同じ係数でチャートに反映されていた』件があります(『』内は上記記事より)。これをビデオプレイヤーでの再生は動画再生指標に、音声のみのアートトラック音声のみモード/バックグラウンド再生モードでの再生はストリーミング指標して分割。月額1180円のYouTube Music Premium会員による再生と無料会員とでも分けられ、無料会員による再生のウェイトは、昨年11月18日付にて導入を開始したSpotifyの無料会員による再生のそれと同一となります。Spotify導入の際に有料サービス会員と無料会員とで1再生あたりのウェイトを変えたことについては、具体的な数値には言及されていませんが下記に記載されています。

 

今回のチャートポリシー変更は開始されてからのアナウンスとなりましたが、米ビルボードソングスチャートに近い形となったものと考えます。尤も、米ビルボードソングスチャートを構成するストリーミング指標はサブスクの再生回数(ビルボードジャパンのソングスチャートにおけるストリーミング指標)とYouTube(日本での動画再生指標)を合わせたものですが、まずは2018年7月13日付よりサブスクサービスでの1再生におけるウェイト付けを実施しています。

ビルボードではさらに、今年1月18日付よりYouTubeについてのウェイト変更も実施。主な改定はユーザー生成コンテンツ(UGC)に該当する動画の算出方法の簡素化ですが、このタイミングで通常の動画とUGCとでウェイトを区別させ、前者は1再生イコール2/3ユニット、後者は1/2ユニットとしています(一方で有料のサブスクサービスの場合は1再生イコール1ユニット、無料サブスクサービスは2/3ユニットとして計算)。さらには有料サービスでのビデオストリームとYouTube Musicのオーディオストリームも区別されています。

これらサブスクサービスの有料と無料の別、広告支援により無料でも視聴可能なYouTube等とでウェイトを分けて計算することで、ストリーミング再生回数と同指標の順位とが逆転する現象も生じています。直近となる8月29日付米ビルボードソングスチャートで連覇を達成したカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン(ミーガン・ジー・スタリオン)「WAP」ですが、ストリーミングは7220万で2位。一方で総合2位に初登場したドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」はストリーミングが6980万ながら首位に。おそらくはミュージックビデオのエロティックさや複数のカメオ出演が評判となった一方、出演者のひとりであるカイリー・ジェンナーのパーティーに参加した直後にメーガンが銃撃される事件があったことでカイリーの出演を疑問視する声もあがったこと等により「WAP」のビデオをチェックする方が少なくなかった、それにより1再生あたりのウェイトが平均すると低くなったと捉えることができるでしょう。

 

今回のビルボードジャパンでの変更にはUGCについての言及はありませんが、米ビルボードの動向を踏まえ、既に議題に上がっているかもしれません。日本ではUGCにより動画再生指標が爆発的に伸びる事態がいくつか生じていますが、歌ってみた動画に代表されるそれらは歌手本人の作品とは異なるため通常の動画と同じウェイトが用いられることには疑問を抱きます。今後その点について協議していただきたいと願いつつ、今回のYouTubeの区別化によりビルボードジャパンソングスチャートがより社会的ヒットの鑑として機能するようになったものと捉えています。

今回のチャートポリシー変更の理由をビルボードジャパンは『ストリーミングによる収益と、ユーザーの視聴動向を正しく反映させるため』と記事の中で示しています。ストリーミングによる収益を、主に収益自体の少なさにおいて疑問視する声が未だ聞こえてくる中で実施した今回の変更により、チャート上位曲がより利益に直結してくるように可視化されたと言えるでしょう。